人生には正しい知識を得ずに無駄な行動をしてしまうことが多々あります。
昨今、YouTube動画や様々なサイトではAGA(男性型脱毛症)対策について薬のフィナステリドの服用を勧めるのものが大変多くなっています。
中には医師の処方なしに個人輸入で安く入手し、人知れずこっそり毎日服用している方も多いはず・・・・。
しかし、発毛効果についてはどうでしょうか?頭皮が見えるほど進行したAGAが発毛して改善したという例はほとんどないのでは無いでしょうか?
今回はフィナステリドのみの服用で発毛するか?について科学的に推察してみたいと思います。
目次
治療薬ってどんな薬?
医学的に発毛効果が求められている薬の成分は2種類しかありません。それは「フィナステリド」と「ミノキシジルです」。
それぞれの成分には以下のような作用があり発毛を促すといわれています。
ミノキシジル:血管拡張
AGA(男性型脱毛症)とは?
ではなぜ男性ホルモンの抑制と血管拡張が有効とされるのか?AGA(男性型脱毛症)のメカニズムについて解説します。
AGAとは、男性型脱毛症(androgenetic alopecia)の略称であり、男性ホルモンと遺伝が関連した脱毛症のことを指します。俗に言う「遺伝ハゲ」と言ってしまえばそれまでですが、そのメカニズムはすでに解明されています。
通常の男性ホルモン(テストステロン)が5αリダクターゼ(酵素)結合すると、悪玉男性テストステロン(ジヒドロテストステロン)に変化します。
そして毛根にある男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)がこの悪玉男性ホルモンをキャッチすると、毛細血管や毛母細胞にダメージを与えることになり正常に髪の毛が育たなくなって脱毛してしまう、いわ髪の毛の病気と言えます。
男性ホルモンの量が問題でない!?
遺伝のハゲと言うと誤解がある場合があります。
それは「薄毛自体が遺伝する」や「男性ホルモンが濃さが遺伝してAGAになりやすい」などですが、この2つは実は間違っています。
AGAになりやすいか?なりにくいか?の明暗を左右するポイントは、この男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)の数とその感度なのです。これが遺伝します。
つまり、いくら男性ホルモンが多くて毛深いからと言って、この男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)の数が少なくその感度も引い場合はAGAを発症しにくいのです。
プロペシアでは生えない
ややショッキングな事実をお伝えすると、男性ホルモン抑制作用のあるプロペシアやフィンペシアを服用しても、進行中もしくは進行後のAGA(男性型脱毛症)が発毛によって改善することはほとんどありません。
先ほど解説した通り、男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)の数と感度が重要であって、男性ホルモンが多くて毛深いからと言ってAGAになるというわけではないのです。
そして、男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)は遺伝するものなので、これを解決する術は無いのが現実です。
ただ、これから発症するAGA(男性型脱毛症)の進行をゆるやかにする予防の効果は臨床試験によって立証されているので、血管拡張作用のあるミノキシジルと合わせて服用することは、発毛育毛に決して無駄ではないということになります。
考えられる副作用は?
副作用として発表されているのは性欲減退、男性機能機能減退になりますがこれは被験者の1%未満。他に重大な副作用として『薬の大辞典』に記載されているのは「肝機能障害」ですが、これはほとんどの薬にも含まれるリスクになります。服用を考える際はこういった副作用についても理解しておく必要があります。
結論
AGAになりやすいか?なりにくいか?の明暗を左右するポイントは、男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)の数とその感度であって、男性ホルモンを抑制するフィナステリドには直接発毛を促す作用はなく、AGA発症リスクを低下させる予防効果がある。ということになります。
頭皮が見えるほど重度のAGAでお悩みになり、現在プロペシアかフィンペシアのみを服用している方は、いますぐ別な治療法を検討された方が賢明です。